青柳貴哉(あおやぎたかや)著『Z世代のネオホームレス』を読んだときのメモ

著者は吉本興業に所属していたことがあるYouTuberで「アットホームチャンネル」を運営しているらしい。
社会状況をフォローしておこうという単なる好奇心からか、キャッチーな題名だったからか本書を読んでみた。
まず、「トー横」ってどこなのかBingってみると、「新宿歌舞伎町、TOHOシネマズ横の通路に溜まる若者たちのコミュニティ」とのことである。「トーヨコ」と聞くと、つい東急東横線をイメージしてしまうのだが、やはりどういうとこなのかイメージがわかない。
そこで、Chromeで「TOHOシネマズ新宿」をGoogle検索してみて、ストリートビューで見る限りでは普通に繁華街という印象であるが、何となく雰囲気はわかる。普段はEdgeを使っているが、このあたりはChromeに軍配が上がる。

ちょっと瑣末なことから書き始めてしまったが、著者が取材を続ける中で抱いた印象として多くの人が死にたいと感じているということがあるという。
家がある、家族がある、お金があるけどホームレスという精神的な理由で居場所がない新たな形のホームレスも存在するらしい。「自分に何かできることはないか?」と思うこともあるそうだが、自分の尺度で彼らの孤独を想像する薄っぺらな正義感に過ぎないと自戒する。
読後感としては結構、面倒を見てあげているように思えるのだが、これも傍観者である私の尺度で評価しているだけで、問題解決に至らない著者の無力感も想像することができないということかもしれない。

人は生まれてくる時代や国は選べない。家庭でもそうだ。今の時代の日本なら結構ラッキーだと思うのだが、覚えたての平仮名で「もうおねがいゆるして、ゆるしてください」などと綴って5歳で生涯を閉じるケースもあったりする。
また自分がどのような人間として生まれてくるのかも選べない。
障碍者として生を受けなければならない場合もある。

少し脱線するが、以前、小島直子氏の『口からうんこがでるように手術してください』という題名の本を読んだ時のことをつい思い出してしまう。以下はAmazonへのリンク。
口からうんちが出るように手術してください | 小島 直子 |本 | 通販 | Amazon
これは重度の身体的な障害を抱えながら強靭的な精神力で克服する人物だったので例外的なケースとしか思えないが、希望を与えてくれるような気はする。
他人から見て顕著な障害を抱えているように見えなくても精神的な障害を耐えている人もいるのかもしれない。

まあ小心者の私は実存の深淵は覗かないようにしておこう。
傷だらけの手首を見る勇気は私にはないので。