『ブラック霞が関』千正康裕(せんしょう やすひろ)

ブラックな組織が存在するのは民間だけではないことを本書で知った。著者は元厚生労働省キャリアで、異常な長時間労働、相次ぐ休職や退職、採用難など崩壊寸前の状況を

訴える。組織の限界に達し、業務を回すことすら難しくミスが発生しやすい状況になり、ミスによる不祥事が増えているという。その不祥事に対応するために更に業務が増え

、多数の職員が休職、退職してしまい、よりブラック、更にミスの発生しやすい状況になるという悪循環に陥っているようだ。働き方改革を担当するある部局では若手女性3人が一緒に退職したというので、つい情状を酌量せずに「隗より始めよ」と意地の悪い半畳を入れたくなってしまう。民間企業であれば自らの意思で不採算事業を整理することはできるが、事業の創設も廃止も国会で決めることなので厚労省で人員が足りないことを理由に勝手に事業を整理することもできない役所ならではの事情もあるようだ。

以前は、霞が関の仕事や国会の運営を変えていくことは困難であるため半ば諦めている国会議員や官僚が多くいたが、最近はメディアでも取り上げられるようになり新しい潮の流れができつつあるようだ。

「まえがき」より引用

長年変わらなかったのだから簡単だとは思っていません。でも、世の中に変えられないことなんて何もないと思います。少しの時間と仲間が必要なだけです。
どうか最後までお付き合いください。そして、「そうだな。自分たちの税金で仕事をしている官僚には、国民のためになることに極力時間を使ってほしいな」。そう思ってくださったら、とても嬉しいです。社会を変える仲間の一人になってください。また、よいアイディアが浮かんだら、編集部や僕のツイッターでもnote(ブログ)でも結構です。お気軽に声をお寄せいただけたら望外の喜びです。

私自身は「仲間の一人」となる覚悟はありませんが、以下は著者のブログ。(最近はnoteを使う人が増えているのかしらん。)
千正 康裕|note