『社会保障亡国論』鈴木亘 (c)2014

本書の発行は2014年なので、以下、数値などに関しては当時のものである。

暗黙の債務は1500兆円

国民年金と厚生年金とを合わせた年金純債務が800兆円に達していた。(2009年)
現在の高齢者が現役であったときに徴収された保険料を積み上げられたものが、年金の「積立金」であり、150兆円で、一方、債務が950兆円なので純債務は800兆円となる。その他の社会保障の純債務は、2008年時点で医療保険が380兆円、介護保険が230兆円であった。社会保障全体の純債務は約1500兆円存在する。
これらはバランスシートに記載されない「暗黙の債務」で、まだ十分に理解されていない。
今は理解されていなくても、いつかは

  • 保険料引き上げ
  • 増税
  • 給付カット

などの約1500兆円分の改革が必要となる。
しかし、保険料の引き上げはもう無理だろう。

社会保障給付費の将来予測

社会保障給付費が如何に重たいかを、我々の給料の総額である国民所得(Natinal Income)との対比で示されている。
以下、抜粋、小数点以下四捨五入。金額の単位は兆円。

2013年度 2025年度 2035年
社会保障給付費 111 149 190
国民所得 359 373 401
国民所得比率 31% 40% 47%
世代間不公平

現在の高齢者たちは、孫たちに5000万円もの借金を背負わせて、その5000万円を無断使用して老後の生活を送っている。
一種の「幼児虐待」であり、これを「財政的幼児虐待(fiscal child abuse)」という。

将来世代にツケを回す行為はもうやめよう。