『地球温暖化論への挑戦』薬師院仁志 とある社会学者の無謀な?挑戦

今日でも「二酸化炭素の排出削減」がまくら言葉のように使われているような気がするが、懐疑論の本が次々と出版され始める前の2002年に早々と発行されている本である。
懐疑論の嚆矢となる本書を再び繙いてみた。

われわれの周りでは、新聞、テレビ、雑誌、書物などのメディアが、連日のように地球温暖化問題についての情報を発信し続けている。
このような、温暖化問題に関する情報洪水のごとき状況下で、多くの人々は、科学的根拠も理論もデータもほとんど知らないまま、
人為的活動によって地球温暖化が生じているのだと、いつの間にか思い込むようになっているのではないだろうか。
ここで問いかけているのは、地球温暖化がホントかウソかといった、単純な二分法的問題ではない。
そうではなくて、本質的な問題は、よく考えてみればホントかウソか自分では見当もつかない大問題に関して、自ら熟考することなく勝手にホントだと決めつけ、思い込まされてしまう事態なのである。

(「はじめに」より)

社会学者が地球温暖化論に挑戦するとは!なんて無謀なことをするのか?!

本書の存在を知ったのは、「不都合な真実」ブームの2007年頃だったと思うが、社会学者が地球温暖化論に挑戦するということに驚きを覚えた。
本書を読むまでは、私自身も熱狂的とまではいかないが、なんとなく地球温暖化真理教の信者であったが、本書を読んでからは少し改宗したくなった。
著者は「一般庶民の一人」を自称するが、膨大な文献を渉猟し正確に読解する力量は、とても「一般庶民」とは言えまい。
背後に気候学を専門とする知人がいるのではないかと疑いたくなるほど、よく勉強している印象を受ける。
「おまえが素人だから、そういう印象を受けるんだよ!」と言われれば、勿論、返す言葉はないが。

人為的地球温暖化論に対して、事実と論理で“「疑問」を提示する”形で鋭く論駁していく。
思いつくところで列挙しておこう。

  1. 気温が上昇傾向に転じたのが1910年頃からであれば、化石燃料の大量消費に還元するのは無理がある。(日本ではまだ明治時代)p155
  2. 1940年から1975年にかけて化石燃料が大量消費されつつ寒冷化傾向の時期があったことを説明できない。p157
  3. 全球平均海面水温と11年移動平均した太陽黒点数が相関している。p194
  4. 温室効果による温度上昇の80~90%は水蒸気によるもので、二酸化炭素の濃度が少々増えたところで大きな影響がでるとは考えられない。p256

(3)の太陽黒点数との相関が存在することは、懐疑するのに十分な根拠となるのではないだろうか。
もっとも、相関関係は必ずしも因果関係を意味するものではないが・・・。
20世紀初頭から温暖化しているグラフをよく目にするが、これらのグラフのデータが捏造されたものであれば、ある意味で人為的温暖化と言えなくもないが、
そうでなければ、大方は自然現象と考えるのが自然のような気がしてくる。

社会問題としての地球温暖化問題

2章までは、まるで一般庶民を装う気候学者のような著述であるが、3章では社会学者としての本領を垣間見せてくれる。

地球温暖化という重い問題に対して、その反応や対策には「ショッピングをするような気持ち」で「遊びながら考え」るような感覚の軽さがあることを指摘する。
まあ、顔面蒼白になるほど深刻に受け止めていたら生活できないけど、軽いノリでなら協力しましょう、といったところだろうか。
正面切っては反論を唱えることはできない空気、反対や反論を封じ込める抑止力が社会全体に浸透してしまっているから、とりあえず信者になっておきましょう。
なんとなく信者でいる方が、余計な軋轢を起こさず大人の対応と言えるかもしれない。

ヘタに反論を唱えると、「懐疑論者」「否定論者」「人類の敵」などとレッテルを貼られるので、信者のふりをしていた方が安全だ。
デンマークでは裁判にまで、かけられてしまった科学者もいるようだ。(赤祖父俊一「正しく知る地球温暖化」p153)

最後に、本書の主な論駁対象であるスティーブン・シュナイダー氏の倫理的問いかけを引用しよう。

最後に、いままで議論してきた大気の問題に関連して、倫理的な問いかけがある。
すなわち、積極的に防止策や対抗策を講じないまま、あるいは少なくとも予測しようとしないまま未来の世代を空前の大変動のなかに放り出す権利が、われわれにあるのだろうか、という問いである。
やがて地球温暖化の時代を引き継ぐ子供たちから、地球温暖化の時代が始まるときに我々が何をしたかー或いは、しなかったかーを尋ねられたら、我々は何と答えればいいのだろうか。

著者は「この倫理的な問いかけこそが、抑止力を作動させている」と主張する。
しかし私はこれには納得できないでいる。
このシュナイダー氏の問いの倫理観には共感を覚えるからである。
抑止力を作動させているという分析は正しいのかもしれないが、「地球温暖化」を「使用済み核燃料」につい置き換えて読んでしまうからかもしれない。

「ショッピングをするような気持ち」で読んでみよう!

本書では、巧みな表現や笑いを誘うような皮肉がスパイスとして味付けされているので、一つの作品として、「ショッピングをするような気持ち」で楽しんで読んでみたらいかがだろうか。

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